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書き散らし文 [創作物]

終わりの見えない小説を“作ってます”。
「書いてます」じゃないのは、9割頭の中にしまってあって、どこにも文章として書き表わしてないからです。
この小説・・・らしきものの主人公が誕生したのはずいぶん前で、私が中学卒業するか高校入ったかぐらいに原型を創りました。
今ではそれがずいぶん進化し、もとは二十代の若者の姿をしていた知的な主人公が、十代の少年となり、天然ボケキャラになりました。
ただし、おとぼけてるのは仮の姿をしている時だけで、真の姿に戻った時は知的でカリスマティックなキャラに変わります。
彼の正体は天使――それも、大天使です。
大天使ガブリエル。新約聖書に載っている、聖母マリアに受胎告知をしたあの天使をご存じでしょうか。
私は彼をモデルにこんな物語を作りました。

なお、ここで公開できるものはブログ友達の泉水真琴さんのオリジナルストーリーとのクロスオーバー作品となっております。
泉水さんのサイトはこちら。
http://www5b.biglobe.ne.jp/~taso-mo/


では始めます。
断わっておきますが、小説ではなく漫画で育ったため、私の文章力はかなり低いです。
読みにくいとは思いますが、なんとか話の内容が伝われば幸いです・・・。

作品名/ 【THE REFLEX/ pure-cognition】少年ガブリエル・観槻学園クロスオーバー編
ジャンル/ 学園・ファンタジー



 * * * * * 



其は永久に横たわる死者にあらねど
        測り知れざる永劫のもとに死を超ゆるもの
                ―――ハワード・フィリップス・ラヴクラフト
                           『クトゥルフの呼び声』


 * * * * * 


〈序章〉


――人間界 中国 安徽(あんき)省

崩れかけた遺跡の中を、赤銅色のマントに身を包み、頭からフードをすっぽりとかぶった男が歩いている。
石段の上に四メートルほどの柱が倒れかかっている場所で男は足を止め、しゃがみ込んで足下の石を汚れを払うかのようになでる。すると辺りに地鳴りのような音が響き、男の足下は高く盛り上がって、砂の中から石棺が現れた。音が収まると男は石棺に近づき、蓋の縁を人差し指でなぞった。蓋の接着部分から蒸気のような煙が上がり、男が蓋の端を押すと、力が加えられた方向へスライドして棺の上から落ちた。
中にはからからに乾いたミイラが眠っていた。ミイラの歯は、まるで肉食獣の歯をくっつけたかのようにとがっていた。

【男】「“我が王”よ…やっとお会いできましたね」



――至高界(天国)

【ミカエル】「どういうことなのだ!」
 天使長ミカエルが会議室で声を張り上げる。
【ミカエル】「なぜ見つからない?」
 ミカエルの前には緊急召集された大天使ガブリエルとラファエルが立っていた。
【ミカエル】「まさか…魔界に逃げ込んだのではあるまいな!?」
【ラファエル】「そんなはずは。天使が魔界に逃亡するなど前代未聞じゃないか」
【ミカエル】「ならなぜこんなに探しても見つからんのだ!そもそも、我々の仲間が至高界の宝物庫から秘宝を持ち出すこと自体前代未聞ではないか!ガブリエル!管理体制は一体どうなっているのだ!?」
【ガブリエル】「警備は完璧だ。私が選出し指導した者たちを配置しているからな。髪の毛の先ほどの穴も有りはしない。問題があるとすれば、二千年前に確立されたあのシステムの方ではないか?」
 ガブリエルは自分の指揮に絶対の自信を持っている。彼は天国と地獄とを分けた、あの戦いよりずっと以前から、大天使の地位につき、数々の仕事をこなしては部下達をまとめてきた。至高界広報課の記録によると彼が担当した仕事のトラブル件数は皆無――つまり、実際に仕事をさせても、彼にチームを組ませて仕事をさせても、任務は必ず成功する。それは至高界では誰もが知るところだった。
【ミカエル】「何っ、長年使ってきたシステムに欠陥があると言うのか!」
【ガブリエル】「警備にあたっていた者たちに抜かりがなかったということは私が保証する。知っての通り、彼らは宝物庫の番人として特別に編成されたメンバーだ。その働きは至高界一と言ってもいいだろう。しかしそれでも“石”が盗まれてしまったのは、警備のためのシステムと、彼らに教え込んだマニュアルが古くなり、使えなくなったということではないか?」
【ラファエル】「システムの老朽化か。ひとの知恵は善かれ悪しかれ、進歩するものだからな」
【ミカエル】「うーむ…。ならば早急に賊の進入経路と手口からシステムの改善すべき点を見つけ、それをまとめたものを議会に提出しろ!このままでは第二第三の賊の侵入を許してしまうぞ!」
【ラファエル】「…ミカエル、話の途中だが通信が入ってる。周波数を647―Eに合わせてくれ」
 上級天使たちは電波に似た精神波で、離れたところにいる相手と会話する。精神波には全て異なる周波数があり、通信用の精神波にはそれとわかる記号がつけられている。この記号の示す精神波に意識を集中すると、相手と会話することができるのだ。
【ミカエル】「ミカエルだ。……何っ?……確かか!?……うーむ…、わかった、直ちに手配する。追って連絡する故そのまま待機していろ。ああ、いつでも動けるように体勢だけは整えておけ」
 ミカエルがガブリエルたちの方を向き直った。
【ミカエル】「恐れていたことが起こったぞ」
【ラファエル】「“石”が見つかったという報告じゃないのか?」
【ミカエル】「今の報告でおおよその在処はわかった。しかし――、それを持っている者に問題がある」
【ラファエル】「どうしたと言うんだ?」
【ミカエル】「…“石”は人間界で見つかった。だがそれを持っていたのは最初に“石”を持ち出した天使ではない」
【ラファエル】「人間の手に渡ったのか?」
【ミカエル】「ならば問題にしない。すぐ取り戻せるからな。今“石”は…悪魔の手に渡っている」
【ガブリエル】【ラファエル】「!?」
【ガブリエル】「上級悪魔か!?」
【ミカエル】「いや、通信では中級以下と言っていた。が…しかし、人間界にいる悪魔にあれが渡ってしまったのでは、少しでも対処が遅れると地上は大惨事になる。考えている暇はない、必要なことは随時通達する。ガブリエル、今すぐ人間界に行ってくれ!」
【ガブリエル】「私が?」
【ミカエル】「ほかの守護天使では間に合わん。お前なら現場で迅速かつ最良の対処ができる」
【ガブリエル】「…わかった」
【ミカエル】「いよいよの時はこちらから援護を送る。とにかく向こうに着いたらお前はできるだけ周りに被害が及ばぬように相手を追いつめ捕獲、やむをえない場合は処分してくれ。何よりも“石”の奪還が優先だぞ!」
【ガブリエル】「了解!」
 ガブリエルは会議室を出るとすぐ人間界へ行く準備をした。

【ガブリエル】「(ターゲットは異次元に物を隠す能力を持っているらしい。“石”がなかなか見つけられなかったのはそのせいだ…。“彼”の狙いは何だ?)」
【天使】「ガブリエル様、通信が入っております。233―Bをお開けください」
【ガブリエル】「ふむ。ガブリエルだ。………そうか、ありがとう」
【ガブリエル】「(中国で大量殺人事件発生…被害者は皆血を抜かれ死んでいた。共通点は“経験”前の若い男女であること、か…。これは生け贄の儀式だな。ターゲットは処女の生き血を集め、“石”を使って何かを復活させようとしているんだ。一体何を…)」
【天使】「ガブリエル様、通信が入っております」
【ガブリエル】「今度はどこからだ?」
【天使】「1125をお開けください」
【ガブリエル】「専用チャンネルだな。誰だろう」
【ガブリエル】「こちらガブリエル。…ああ、ラファエルか。ミカエルから何か言伝でも?……ええっ?そうか、それで…。うん、わかった、ありがとう」
【ガブリエル】「(大量殺人が起きる少し前に、中国の安徽省から墓暴きが出たのか…。そこに埋まっていた死体は人間のものではなく、七百年前に封印された吸血鬼のものだった。つまり…ターゲットは“石”の力で吸血鬼をよみがえらせ、人間界を混乱に陥れようとしている)」
【ガブリエル】「何としてでも食い止めなければ。モンスターが復活する前に!」
【ガブリエル】「(あの吸血鬼は極めて魔物に近い体…。動き出せば元人間である通常の吸血鬼よりもずっと手強い。まずは、地上にいる仲間に呼びかけてターゲットの生き血採集を妨害してもらわなければならない)」
 ガブリエルは人間界に向かいながら仲間と連絡を取った。
 ちょうど、“吸血鬼撲滅協会”のチームが、向かおうとしている場所に集結していた。
【ガブリエル】「さすがに対応が早い。うん?この精神波は…ジョフィエル?」
 ガブリエルは呼びかけた仲間の中に、懐かしい同僚の精神波を感じた。
【ガブリエル】「(そうか…“彼女”は吸血鬼の取り締まりを担当していたな。配属が決まったのは三千年ほど前になるかな)」

【ガブリエル】「ジョフィエル、私だ。ガブリエルだ」
 ガブリエルはジョフィエルに周波数を合わせて呼びかける。
【ジョフィエル】「ガブリエルか、久しいな」
【ガブリエル】「今至高界で起きていることは耳に入っているか?」
【ジョフィエル】「宝物庫が賊に荒らされたことか?」
【ガブリエル】「そうだ。ただ荒らされただけじゃない。“生命の石”を持ち出された」
【ジョフィエル】「しかもそれは魔物の手に渡り、ここ人間界でよからぬ企みに利用されている」
【ガブリエル】「なかなか情報の伝達が早いようだ」
【ジョフィエル】「ここにいれば情報がすべてだからな。それで、お主が直々に使わされたのはやはり…」
【ガブリエル】「そのよからぬ企みを阻止するためだ。一刻も早く、被害を最小限に留めながら問題の魔物と“石”を見つけなければならない」
【ジョフィエル】「相手は“石”と吸血鬼のミイラをどこかに隠している。恐らく、奴でなければ取り出し不可能な場所だ。奴を生け捕りにして取り出させるか?」
【ガブリエル】「そう簡単に渡すとも思えない。私に考えがある」
【ジョフィエル】「聞かせてもらおうか」


【ジョフィエル】「な…本気か!?」
【ガブリエル】「こんな時に冗談は言わない」
【ジョフィエル】「そんな作戦聞いたこともないぞ!第一危険を伴いすぎる!」
【ガブリエル】「だが一番確実な方法ではないだろうか?『何よりも“石”の奪還が優先』とは、ミカエルの言葉だ」
【ジョフィエル】「しかし…」
【ガブリエル】「今ここでこの作戦が実行できるのは私だけだろう」
【ジョフィエル】「うむ…その権限があるのは、確かにお主だけだ」
【ガブリエル】「必ずうまくいく。もっとも、あなたの協力がありさえすればの話だが」
【ジョフィエル】「…仕方ない、アタシのやりかたとかけ離れてはいるが…。ミカエル同様、お主を信頼して、全力を持って協力しよう」
【ガブリエル】「ありがとうジョフィエル」
【ジョフィエル】「それから、こっちでアタシを呼ぶ時は、美月莉菜(みつき・りな)だ。これがこっちでのアタシの名前だからな」

 大天使ガブリエル、至高界から特別の命を受け、地上に降臨す――。

 物語はまだ、始まったばかりである。

―続く―


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